シミュレーション天文学をどう普及させるか:最新の天文学の普及をめざすワークショップ

計算基礎科学連携拠点(JICFuS)およびポスト「京」重点課題9「宇宙の基本法則と進化の解明」は、2017年12月3日(日)~5日(火)の3日間、神戸大学統合研究拠点コンベンションホールにて、第13回 最新の天文学の普及をめざすワークショップ「シミュレーション天文学」を開催しました(主催:神戸大学惑星科学研究センター、運営事務局:最新の天文学の普及をめざす会)。参加者は、講師を含めて57名でした。

本ワークショップは、最新の天文学の普及をめざす会を中心に、2004年から毎年、天文教育に携わる人々と研究者との連携により開催してきました。今回はその第13回となります。初日と2日目は、6人の天文シミュレーション研究者による講義があり、2日目の最後に参加者全員によるワークショップを実施。3日目は、理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」の見学会を行いました。

初日は午後からの開始で、オリエンテーションの後、神戸大学の牧野淳一郎教授が「シミュレーション天文学」のオーバービューを行いました。理論とシミュレーションの違いを歴史的な経緯を含めて語り、なぜ研究でシミュレーションが活用されるのかについて説明がありました。
続いて、千葉大学の堀田英之特任助教が、「大規模計算で探る太陽活動周期」と題する講義を行いました。太陽の11年周期がなぜ起こるのかを大きな課題に設定し、太陽と磁場の関係についてシミュレーション結果を交えながら話しました。太陽という身近なテーマであったため、講義後も質問者が列をなしました(写真1)。

2日目は、東京工業大学の小南淳子研究員が「シミュレーションで明らかにされつつある惑星形成過程」を、京都大学の木内建太特定准教授が「スーパーコンピューターで探る連星中性子星合体と重力波」を、国立天文台の大須賀健助教が「スーパーコンピュータシミュレーションによるブラックホール天文学」を、東京大学の吉田直紀教授が「ビックデータ宇宙論」をはじめとする3テーマの講義を行いました。
いずれも天文学の中で人気のあるテーマであり、ポスト「京」重点課題9やポスト「京」萌芽的課題3の成果を交えた講義に、参加者は興味深く聞き入り、多くの質疑が交わされました。
最後に、グループワーク「最新のシミュレーション天文学をどう伝えるか」を行いました。テーマは「画期的な教育普及プログラムを構築してください」。参加者を6グループに分け、講師も加わり、この課題に取り組みました。90分という短い時間の中、各グループは趣向を凝らした企画を練り上げ、発表しました(写真2)。

3日目は、理化学研究所計算科学研究機構に場所を移し、スーパーコンピュータ「京」の見学を行いました。見学担当者が「これまでで最多の質問数でした」というほど、参加者は非常に熱心に話に聞き入りました(写真3)。

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