目的

計算基礎科学連携拠点(Joint Institute for Computational Fundamental Science:JICFuS)は、スーパーコンピュータを使った計算基礎科学を精力的に進める国内13機関により構成されています。2009年2月、筑波大学計算科学研究センター、高エネルギー加速器研究機構、国立天文台の3機関により立ち上げられ、2014年12月に5機関、2020年6月にはさらに5機関が加わり、現在は13機関の連携組織に拡大しました。
JICFuSは、これまで「京」など国内のスーパーコンピュータを活用してHPCI戦略プログラム分野5「物質と宇宙の起源と構造」を推進。素粒子・原子核・宇宙研究および計算基礎科学推進体制構築を行い、ACMゴードン・ベル賞を受賞するなど多大な成果をあげてきました。2015年度からは、ポスト「京」重点課題(9)「宇宙の基本法則と進化の解明」に引き継がれ、次世代スーパーコンピュータ・ポスト「京」の能力を最大限に発揮するためのアプリケーション開発および研究を進めてきました。また、ポスト「京」萌芽的課題:太陽系外惑星(第二の地球)の誕生と太陽系内惑星環境変動の解明「生命を育む惑星の起源・進化と惑星環境変動の解明」で行われてきた惑星科学分野も加わり、2020年度から「富岳」成果創出加速プログラムの領域(1)人類の普遍的課題への挑戦と未来開拓において、「シミュレーションで探る基礎科学:素粒子の基本法則から元素の生成まで」および「宇宙の構造形成と進化から惑星表層環境変動までの統一的描像の構築」の2課題を実施していくことになりました。これまでの研究・アプリ開発の成果を活かして、スーパーコンピュータ「富岳」からの速やかな研究成果創出を目指します。
計算基礎科学の研究開発体制を充実させるため(1)計算基礎科学者へのサポート、(2)計算基礎科学者と計算機科学者の協同の場の提供、(3)新しい研究分野の創出などの活動を行います。また、研究者紹介「JICFuSムービー」や、量子色力学カードゲーム『クォーク・カード・ディーラー』などを通じて、基礎科学の裾野を広げる活動を行っています。

計算基礎科学連携拠点を構成する13機関

高エネルギー加速器研究機構
筑波大学計算科学研究センター
自然科学研究機構国立天文台
京都大学基礎物理学研究所
大阪大学核物理研究センター
東京大学原子核科学研究センター
東京大学大学院理学系研究科天文学専攻
千葉大学ハドロン宇宙国際研究センター
理化学研究所仁科加速器研究センター
理化学研究所計算科学研究センター
神戸大学惑星科学研究センター
東北大学大学院理学研究科
東海国立大学機構名古屋大学宇宙地球環境研究所

計算基礎科学者へのきめ細かで強力なサポート

計算基礎科学の研究を行っている、あるいはこれから行おうとする研究者を、単独の機関ではなく、3つの機関およびその協力機関と共同して、よりきめ細かでかつ強力なサポートをしていきます。筑波大学計算科学研究センターには、物理学者など基礎科学分野の研究者だけでなく、多くの計算機科学者が在籍しています。計算機の専門家の立場から、スーパーコンピュータの効率的な使い方や研究目標達成のために必要な新しいアルゴリズムの開発などを、全国の研究者にアドバイスしていきます。

計算基礎科学者と計算機科学者の共同の場を提供

スーパーコンピュータの運用などに関し、計算基礎科学者などアプリケーション側の意見を取り入れて、新しい計算機の導入や専用計算機の開発製作を行っていきます。これには、アプリケーション側の研究者と計算機科学者の密な共同作業が必要不可欠です。計算基礎科学連携拠点は、日常的に両者が出会い、活発に意見交換をする場としての役割を果たします。

新しい研究分野の創出を目指す

異なる専門分野の計算基礎科学者同士の共同研究を促進します。共同研究は、共通の計算アルゴリズムを使っている異なる専門分野の計算基礎科学者が、計算機科学者を交えながら共同作業をすることで始まります。さらに、計算機を媒介として、素粒子、原子核、宇宙物理などを融合した新しい研究分野の創出を目指します。