拠点長挨拶


計算基礎科学連携拠点(JICFuS)は2009年2月、スーパーコンピュータを使った計算基礎科学を精力的に進める3機関、筑波大学計算科学研究センター、高エネルギー加速器研究機構、国立天文台が立ち上げた研究組織です。2014年12月には5機関が加わり、現在は8機関の連携組織に拡大しています。JICFuSは、素粒子・原子核・宇宙物理分野の計算科学をリードする存在として、さまざまな科学的成果を創出するとともに、計算科学推進体制の構築や分野振興活動を行っています。

JICFuSは2016年3月までの5年間、HPCI戦略プログラム分野5「物質と宇宙の起源と構造」の実施母体として活動してきました。スーパーコンピュータ「京」を使い、クォーク質量の精密決定、原子核構造計算の飛躍的進歩、中性子星連星合体における磁場増幅の解明、ダークマター粒子の重力進化計算など、多くの研究成果をあげました。また、計算機資源の効率的マネジメント、人的ネットワーク形成、次世代の研究課題発掘などの研究体制構築、および戦略的な広報活動など分野振興の面でも大きな成果をあげました。
研究開発は2016年4月から本格実施が始まるポスト「京」重点課題(9)「宇宙の基本法則と進化の解明」に引き継がれ、さらに新たなテーマが加わります。一方で、体制構築と分野振興はJICFuSの活動として引き継ぎます。

今後の計算基礎科学分野のさらなる発展のために、私はJICFuSが以下のような活動を支援していくべきだと考えています。まずは、戦略プログラムなどの活動を通じたその基盤が確立してきた素核宇宙の分野連携をより成熟させることです。JICFuSが始まる前に比べて、分野間の情報共有や研究協力はかなり進みましたが、共同研究や論文の共同執筆といった更なる分野連携や融合の活動は限られた一部に留まっています。また、物性分野など手法も共通で興味が近い分野を巻き込みながら、連携する分野を拡大させることも次の重要な活動の1つです。これらの実現のために、魅力的な大型プロジェクトを積極的に立案していきたいと思います。
ポスト「京」の次を考えるのもJICFuSの重要な役割です。素核宇宙分野がこれまで行ってきたコデザイン、学際的研究の特徴、計算機科学者との共同研究の実績などを生かしつつ、日本の計算科学に貢献していきたいと考えています。

2016年4月
計算基礎科学連携拠点長 青木慎也