宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションサマースクール2016

2016年8月22日(月)~8月26日(金)に千葉大学総合校舎1号館にて、宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションサマースクール2016が開催されました。9人の講師のもと、宮城から福岡まで広い範囲から集まった大学院生・若手研究者31人が、宇宙磁気流体・プラズマシミュレーションについて学びました。本スクールは、文部科学省ポスト「京」重点課題9「宇宙の基本法則と進化の解明」の共催で行われました。

本スクールは、文部科学省HPCI戦略プログラム分野5「物質と宇宙の起源と構造」の支援を受けて開発・公開してきた2つのシミュレーションコードパッケージを教材として、シミュレーション初心者向けに行われました。2つのコードは、磁気流体(MHD)モデルに基づく高次精度磁気流体シミュレーションコードパッケージ「CANS+」と、電磁粒子モデルに基づくプラズマ粒子シミュレーションコードパッケージ「pCANS」です。

スクールではまず、宇宙磁気流体とプラズマシミュレーションの基礎についての講義を、まる一日かけて行いました。2日目以降は実習です。受講生はテーマごとに7つのグループ(降着円盤、磁気回転不安定性、磁気リコネクション、パーカー不安定、宇宙ジェット、プラズマ粒子シミュレーション、コード開発)に分かれたうえで、CANS+、pCANSを用いたシミュレーションに取り組みました。最終日の午後には発表会があるため、終盤に近付くにつれて、実習をまとめつつ発表スライドを作り、最後に一人5分程度ずつ成果を発表しました。予想外の結果が出て、その受講生だけでなく講師も頭をひねるなど、研究の難しさと、ある種の面白さを感じることができました。

成果発表会

成果発表会

受講生が実習に取り組む一方、講師を務めた研究者たちは、合間を見つけて情報交換や議論を行い、その面でも進展があった模様です。また、以前、このサマースクールを受講した当時修士1年だった大学院生は、その後独自に計算アルゴリズムを開発し、論文として投稿できるレベルの数値コードを完成させたとのことで、スクールの成果が徐々に形に現れてきました。

世話人の松元亮治・千葉大学教授は「うまくいった人も途中の人もいましたが、それぞれかなり進展があったと思います。今回、CANS+は2次元バージョンを用意したため、3次元を2次元化した昨年より速く計算できたと思います。これまで初心者向けとシミュレーション経験者向けのスクールを交互に開催してきました。来年は経験者向けの年ですので、コード開発もスケジュールに組み入れていきたいと思います」と最後を締めくくりました。

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