KEK・西村 淳准教授と京都大学・花田政範特定准教授が第9回湯川記念財団・木村利栄理論物理学賞を受賞

高エネルギー加速器研究機構(KEK) 素粒子原子核研究所の西村 淳(にしむら・じゅん)准教授、京都大学基礎物理学研究所の花田政範(はなだ・まさのり)特定准教授が、第9回(2016年)湯川記念財団・木村利栄理論物理学賞を受賞。2016年1月20日に京都大学基礎物理学研究所で、授賞式・受賞記念講演会が開催されました。

木村利栄理論物理学賞授賞式の写真

左から順に、京都大学基礎物理学研究所長・佐々木 節教授、湯川記念財団理事長・九後太一氏、西村准教授、花田特定准教授、選考委員長/京都大学基礎物理学研究所・青木愼也教授
撮影・提供/湯川記念財団・京都大学基礎物理学研究所

受賞理由は「超対称ゲージ理論の数値的研究」です。西村准教授と花田特定准教授は1次元超対称ゲージ理論の新しい数値計算法を開発し、超弦理論におけるゲージ重力対応の数値的検証を行いました。ゲージ重力対応は、超弦理論の研究において最も注目されているテーマの一つで、ブラックホールを含む時空上で定義された超弦理論が、より低い次元のゲージ理論と等価になるという予想です。
西村准教授と花田特定准教授はゲージ理論の数値計算を行い、その結果がブラックホールから得られる結果と一致することを示すことにより、ゲージ重力対応に対するいくつかの重要な検証を行うことに成功しました。また、ゲージ重力対応の研究に、数値計算という新しい研究手法を導入してその有効性を実証した点においても、高い評価を受けました。

本研究は、文部科学省HPCI戦略プログラム分野5「物質と宇宙の起源と構造」および計算基礎科学連携拠点の協力で実施したものです。

用語解説

超弦理論(ちょうげんりろん)
重力を含むすべての相互作用を記述する統一理論の有力な候補。物質の基本的単位を、大きさのない0次元の点粒子ではなく、1次元の拡がりをもつ弦であると考える弦理論に、超対称性の考え方を加えて拡張した仮説である。
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