開催報告:第16回 HPC-Phys 勉強会

2022年9月16日にオンラインにて、第16回HPC-Phys勉強会を開催しました。この勉強会は、計算基礎科学連携拠点(JICFuS)と理化学研究所R-CCSの共催です。参加者は31名でした。

 この勉強会は、主にスーパーコンピューター(スパコン)を使う研究者の集まりですが、スパコンを始めとする計算機そのものを研究している人たちもいます。1つ目の講演では、理化学研究所の佐野健太郎さんに、スパコンのハードウェアの今後の動向について解説いただきました。ハードウェアとスパコンのシステムソフトについては次世代先端的計算基盤(Next-Generation Advanced Computing Infrastructure, NGACI:リンク https://sites.google.com/view/ngaci/ )が白書を出しています。佐野さんは近日中に公開予定の最新版白書での、ハードウェアに関する取りまとめ役です。スーパーコンピューター「富岳」の次の世代のスパコンに向けて、どのようなハードウェアがありえるのかを紹介してくださいました。「富岳」のようなCPU型、GPUのような演算加速器を用いるもの、様々なハードウェアについて議論がありました。また、使いやすいスパコンにするために、スパコンで計算を行うアプリケーションソフト(アプリ)側の要望に強い関心を持っているとのことでした。

後半は、アプリの方の白書である「計算科学ロードマップ」最新版(こちらも近日公開予定)から、素粒子・原子核分野、宇宙・天文分野の内容を取り上げました。最新版はHPCIC計算科学フォーラム (リンク https://hpcic-kkf.com/ )が取りまとめています。素粒子・原子核分野ついては、その中で素粒子論分野の取りまとめをしている理化学研究所の金森逸作さん、宇宙・天文分野については、分野の取りまとめをしている瀧脇知也さんから紹介がありました。このロードマップでは、2026年-2031年に行いたい研究課題と必要な計算資源が取り上げらています。金森さんの講演では、主にクォーク間の相互作用を扱う格子QCDシミュレーションに必要な計算資源の見積もりが紹介されました。とくに隣接通信の性能が鍵を握りそうです。瀧脇さんの講演では、分野内の様々なアプリについて、計算手法とそのボトルネックが紹介されました。

講演資料は、勉強会 web site からご覧になれます。
http://hpc-phys.kek.jp/

世話人の一人である金森さんからは
「ハードを作る研究者と使う研究者が顔を合わせる貴重な機会ということで、普段以上に活発な議論がなされました。佐野さんの講演を踏まえて勉強会後にアプリ側の意見をハード側に伝えるアンケートをとりましたが、非常に有益だったと聞いています。アプリ側にとってもハードに合わせてプログラムの大幅な変更が必要になるかもしれず、貴重な意見交換の場となりました。お忙しい中、ご講演いただいた佐野さん、瀧脇さん、どうもありがとうございまいた。」
とコメントをいただきました。

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