連携して難問に挑む -分野2×分野5異分野交流研究会-


5月30日(水)、東京大学柏キャンパス物性研究所で第2回HPCI戦略プログラム分野2×分野5異分野交流研究会が開催されました。両分野から合わせて46名の参加がありました。この研究会は、分野2と分野5の研究者がインフォーマルな雰囲気で議論する機会をもうけることを目的としています。素粒子、原子核、物性、量子化学、数理科学の分野から8名の研究者が「量子モンテカルロ計算」をテーマに講演を行い、活発な議論を繰り広げました。

分子以上のスケールを扱う分野2と、原子核以下を扱う分野5では、物質階層が異なります。しかし、量子系の計算によく似た方法が用いられるため、多くの共通する課題があります。そのため、これまでにも物質科学の研究者と素粒子・原子核研究者の交流により、多くのブレークスルーがもたらされてきました。たとえば、2008年にノーベル物理学賞を受賞した素粒子物理学者の南部陽一郎博士は、物性現象である超伝導を説明する「BCS理論」をきっかけに、受賞理由である「自発的対称性の破れ」のアイデアを思いつきました。

冒頭で、世話人の一人である杉野 修(すぎの・おさむ)・東京大学准教授は「素粒子、原子核、物性、化学、宇宙、数理科学といった異なる分野の研究者がもっと連絡を密にすれば、新たなブレークスルーがあるのではないでしょうか」と挨拶し、研究会が始まりました。

三浦 謙一 教授

今回のテーマである「量子モンテカルロ計算」は、乱数を用いて行う計算手法であり、素粒子、原子核からナノスケールのシミュレーションに利用されています。三浦 謙一 (みうら・けんいち)・国立情報学研究所教授が行った、次世代の超並列計算機に向けた乱数発生法に関する講演は、多くの研究者が「最も印象的だった」と感想を述べていました。

量子モンテカルロ計算でフェルミ粒子のシミュレーションを行うと、正と負の乱数を限りなく和をとることになり、答えが限りなく0に近づいて、計算ができなくなってしまうという「負符号問題」があります。講演では負符号問題に関する話題が多く寄せられ、活発な質疑応答がありました。

研究会終了後、研究者からは一様に、「負符号問題は難問だ」との声が聞かれました。しかし、杉野准教授は「今後も分野2、分野5の連携をより密にしていけば、ブレークスルーが起こるのではないか」と、連携研究会での手ごたえを話しました。同じく世話人を務めた矢花 一浩(やばな・かずひろ)・筑波大学教授は、「今後もこのような肩の凝らない研究会を定期的に開催していきたい」と語り、研究会を締めくくりました。

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