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(2)大規模量子多体計算による核物性解明とその応用

原子核は陽子と中性子からなる量子多体系で、核力と呼ばれる粒子間の力で束縛されています。核力は極めて複雑で豊かな内容を持ち、その性質はいまだ完全に明らかにはなっていません。例えば強いテンソル力と呼ばれる成分を含んでいて、これは他の物理系ではほとんど議論されていません。テンソル力の場合は、中性子数を十分に変えると原子核の殻構造を変え、魔法数までも変えてしまうことが最近わかってきました。このように、エキゾチック核では安定核で確立された描像やモデルが変わってしまう、パラダイムシフトが様々な局面で起こりつつあります。また、2粒子間にはたらく2体力に加えて、3粒子同時に存在することによって現れる3体力の効果がかなり大きい、という最近の知見は、多面的なパラダイムシフトの一例です。このような状況下では、旧来型モデルの信頼性がゆらいでおり、それ故に新しい物理が活躍できるフロンティアです。フロンティアで頼りになるのは原理的なものに他ならないので、この場合には、核力にしっかりと依拠した多体理論計算がそれに相当します。

本研究課題では、有効相互作用理論によって核力に基づいた量子多体問題を設定し、「京」を用いた大規模量子多体計算を遂行します。
これによって、核力の性質を議論しつつ原子核の構造を明らかにし、宇宙核物理における元素合成過程の解明などの応用へとつなげます。

構成メンバー

研究開発課題責任者
大塚孝治 Takaharu Otsuka 東京大学大学院理学系研究科 教授

メンバー
清水則孝 Noritaka Shimizu 東京大学大学院理学系研究科 特任准教授
阿部 喬 Takashi Abe 東京大学大学院理学系研究科 助教
吉田 亨 Tohru Yoshida 東京大学大学院理学系研究科 特任助教
岩田順敬 Yoritaka Iwata 東京大学大学院理学系研究科 特任助教
富樫智章 Tomoaki Togashi 東京大学大学院理学系研究科 特任助教
角田直文 Naofumi Tsunoda 東京大学大学院理学系研究科 特任助教
中務 孝 Takashi Nakatsukasa 筑波大学計算科学研究センター 教授/理化学研究所仁科加速器研究センター 准主任研究員
宇都野 穣 Yutaka Utsuno 日本原子力研究開発機構 研究副主幹
本間道雄 Michio Honma 会津大学コンピュータ理工学科 教授

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