開催報告:重力波観測時代のrプロセスと不安定核(6/20-22)

2018年6月20日(水)~22日(金)に理化学研究所(和光キャンパス)RIBF棟2階大会議室にて、研究会”重力波観測時代のrプロセスと不安定核”が開催されました。参加者は119人でした。

この研究会の中心的なテーマとなったrプロセスとは、速い(“r”apid)中性子捕獲による元素合成で、宇宙における金やウランなど鉄よりも重い元素の起源です。中性子星が関わる爆発的な天体現象で起こると考えられており、近年の研究では連星中性子星の合体が最も有力な候補です。昨年、連星中性子星合体による重力波(GW170817)が初めて検出されましたが、同時に、可視光を含む光学望遠鏡での観測でキロノヴァ/マクロノヴァと呼ばれる突発天体現象も発見されました。キロノヴァはrプロセスを熱源として輝く現象で、これにより観測によって初めてrプロセスの「現場」が確認されたことになります。今後、中性子星合体の重力波観測が進展するにつれて、rプロセスの精密な理解を通して、ミクロな原子核の謎の解明も期待されます。研究会では「中性子星合体とrプロセス」を中心に、関連する原子核と天体分野の研究者たちが、分野の枠を越えて理論と実験の両方の視点から最近の進展について発表を行い、多角的な視点での議論が行われました。

この研究会は、理研RIBF理論研究推進会議、理研仁科センターRIBF研究部門およびポスト「京」重点課題9「宇宙の基本法則と進化の解明」の主催により行われました。サブ課題B「物質創成史の解明と物質変換」の関連研究者も多く参加し、阿部喬、関口雄一郎、西村信哉さんらが世話人として研究会を運営し、宇都野穣、木内建太、柴田大さんらが研究発表を行いました。発表では、京コンピュータを用いた数値シミュレーションの成果が報告され、ポスト京に向けての展望なども語られました。

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