爆発の光はいつ見えるか-「超新星爆発と数値シミュレーション」研究会

12月26日(月)~28日(水)に、京都大学基礎物理学研究所で「超新星爆発と数値シミュレーション」研究会が開催されました。3日間で招待講演9、一般講演17 の計26講演があり、約50名の超新星爆発シミュレーションに関わる研究者が参加しました。
この研究会は、2000年代に入ってからほぼ隔年で行われています。目的は、各研究者が行っている超新星爆発シミュレーションの現状を相互に理解するとともに、研究を進めていく方向について議論を行うことにあります。
今回の研究会では講演スケジュールに余裕をもたせたのが功を奏し、講演後の質問時間や休憩時間にさまざまな議論が行われました。

超新星爆発のメカニズムはまだ完全には解明されておらず、宇宙物理学における大きな課題とされています。重力、電磁相互作用(磁場の影響)、弱い相互作用(ニュートリノ反応)が密接に絡み合うため解析的に解くことが難しく、数値計算に期待がかかります。ところが、これまで数値シミュレーションで爆発を起こすことができていませんでした。
2000年代後半に入って、核物質の物性や素粒子、原子核の反応を詳細に組み入れた空間2次元、3次元の計算が可能になって来て、実際に弱い爆発を得ることができるようになりました。しかし、まだ現象の理解にはほど遠く、より詳細な物理プロセスの導入やさらなる数値手法の研鑽が必要な段階にいます。そのため研究会では、主眼とする爆発メカニズムだけでなく、周辺の最先端トピックスについても幅広く議論を行いました。

国立天文台の滝脇知也さんは、国立天文台と筑波大のスパコンを用いて3次元シミュレーションを行い、爆発を示唆する結果を得ました。ただ、エネルギーが足りないなど不十分なところもあり、断言はできないとのことでした。格子間隔をさらに小さくした大規模なシミュレーションが必要で、近日中に京速コンピュータ「京」で計算を行う予定です。
ほかにも、超新星爆発やガンマ線バーストなどに関するさまざま研究成果が発表されました。これらの研究は今後、「京」による大規模シミュレーションでの解明が期待されます。

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