パウリ原理を取り入れた分子動力学模型-素核宇宙融合レクチャーシリーズ

Ono-160x2402015年5月12日(火)~13日(水)に理化学研究所和光本所にて、非専門家を対象とする素核宇宙融合レクチャーシリーズ第14回 「重イオン衝突の動力学と熱力学:分子動力学法によるアプローチ」が開催されました。講師には、東北大学の小野 章(おの・あきら)助教を迎え、2日間にわたるレクチャーが行われました。参加者は18名でした。

150512-13lecture重イオン衝突を題材として時間依存平均場理論、様々な輸送過程のダイナミクス、分子動力学理論の外観についてのトークがあり、フラグメント生成、クラスター相関等を記述する様々な拡張方法について議論されました。とくに、AMD(antisymmetrized molecular dynamics)と呼ばれる、核子間のパウリ原理を完全に取り入れた分子動力学模型を用いた様々な適用例が示されました。
熱平衡の観点からクラスターやフラグメントの液相気相相転移から状態方程式への応用まで、幅広くかつ丁寧な解説が行われました。講義の途中にも多くの質問が出され、活発な議論もあり、今回も大いに盛り上がったレクチャーシリーズでした。

この素核宇宙融合レクチャーシリーズは、分野融合を目的の一つとする新学術領域研究「素核宇宙融合による計算科学に基づいた重層的物質構造の解明」およびHPCI戦略プログラム分野5の共催で行われました。最終的にはシリーズをまとめた「素核宇宙融合教科書」の制作が予定されています。

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