プレスリリース:スーパーコンピューター「京」を用いて世界最高解像度で太陽の対流層計算を達成

東京大学理学部プレスリリースより転載

スーパーコンピューター「京」を用いて世界最高解像度で太陽の対流層計算を達成

平成26年4月11日

発表者
堀田英之(日本学術振興会 海外特別研究員/High Altitude Observatory)
横山央明 (東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 准教授)
※2014年3月 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 博士課程修了

発表概要

太陽対流層は、その中心部で核融合により発生したエネルギーを輸送するために乱流的な熱対流によって埋め尽くされている。この乱流を数値シミュレーションにより再現することは、差動回転といった大規模な流れ場や磁場の生成を理解するために重要である。しかし、太陽の大きさを考えると、小規模の乱流を数値計算によって再現することは多くの格子点を要するために難解な問題である。大規模化したスーパーコンピューターであっても、これまで使用されていた「アネラスティック近似」というこれまでの手法では、2008年時点での太陽の熱対流を計算した結果が世界最高であるという足踏み状態であった。

東京大学大学院理学系研究科の堀田英之 博士課程大学院生(4月より日本学術振興会海外特別研究員へ異動)、横山央明 准教授とアメリカ合衆国High Altitude Observatory(高高度観測所)のMatthias Rempel 研究員の研究グループは、独自の新しい数値計算法「音速抑制法」を用いた効率の良い計算コードプログラムと理化学研究所のスーパーコンピューター「京」により、太陽の熱対流計算を世界最高解像度(従来の6倍以上の解像度)で達成した。この計算により得られた太陽内部の熱対流と磁場生成のモデリングにより、対流層の底が磁場生成に最適の場所であることを明らかにした。

今後は、実際の太陽と比較し太陽の自転もとりいれつつ計算を進めることで、大規模流れ・黒点磁場生成機構の解明が可能になると期待される。本研究は太陽活動11年周期の謎の解明や太陽活動の変動の予測について世界で最も優れた方法を提案したものである。

詳細は東京大学理学部プレスリリースをご覧ください。

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