神戸の夜景をバックに恒星進化を語る-国際ワークショップMODEST12

2012年8月15日~17日 の3日間、国際ワークショップMODEST-12を、神戸大学惑星科学研究センター(CPS)で開催しました。CPS は神戸市ポートアイランドのスーパーコンピュータ「京」の建物の隣にある神戸大学統合研究拠点の1フロアを占めています。15名程度のビジターが長期滞在できる研究スペースがある他、議論ができるフリースペース、セミナー室などがある大変素晴らしい環境です。

参加者は21人。そのうち外国人研究者が8人含まれていました。また、長期滞在型研究会が7月16日から行われていて、こちらの参加者は17人でした。

MODESTはModeling and Observing DEnse STellar systemsの略で、星団の形成・進化の理論・シミュレーションによる研究、観測的研究を国際協力しながらやっていこうと、年に一度のシンポジウムと、数回の小規模なワークショップを行っています。2001年から続いていますが、今回初めて日本での開催となりました。

研究会は、初日が主にN体計算のアルゴリズム、2日目はマルチフィジクスのシミュレーションやライデン大学のグループが開発しているAMUSEソフトウェア環境についての議論、3日目には星団に新しい観測に関連した議論が中心でした。2日目夜には神戸港からのクルーズでの船上でバンケットが行われ、プリンストン高等研究所Piet Hutの60歳を皆で祝いました。

HPCI戦略プログラム分野5との関係では、マルチフィジクスシミュレーションのためのソフトウェア環境であるAMUSEの現状、開発体制についての議論が興味深いものでした。

AMUSEでは、粒子系N体計算コード、恒星進化計算コード、流体コードなどがプログラミング言語「Python」で記述されたドライバプログラム経由で相互作用します。相互作用の仕方は、標準のアプリケーションプログラミングインタフェース(API)が定義されており、既存の大規模並列プログラムなどもそのAPIによるインターフェースを追加することでAMUSEパッケージの一部として利用できます。ガスからの星形成、その後の恒星の進化、恒星の重力相互作用といった多様な物理を統一的に扱うアプローチの一つとして期待できます。

戦略分野の研究者との交流もあり、今後も協力して研究を進めていく計画です。

カテゴリー: 新着情報, 研究会報告   パーマリンク